エンジェルタイム

愛猫 黒猫無垢の話 23

大変ご無沙汰しておりました。実家の片づけに行っていてなかなかブログを書く時間がありませんでした。

実家にあった無垢の最晩年の写真を持ち帰ってきました。

一人暮らしだった母をずっと見守り続けた写真です。


無垢は家族以外には素っ気ない態度をとる猫さんでした。

小さい頃に近所の人に川に落とされた経験があるからか、なかなか近くに寄ってこないし、近づくと逃げたり威嚇してきたりしていました。


ある日を境に無垢は周りの人にも甘えるような素振りをしてくるようになりました。

虹の橋を渡る3ヶ月ぐらい前です。

それまでは動くのもつらそうだったのに、庭に出て散歩できるようになるほど急に元気になったのです。

親戚から「無垢ちゃんが元気になった」「え?撫でさせてくれるの?」と驚かれるほど人懐こい猫さんになりました。


娘が生まれてからずっと私のそばに来るのを遠慮していた無垢は、子猫の頃のようにまた甘えてきてくれるようになりました。

私は複雑な気持ちでいっぱいでした。

撫でながら半泣きになることもありました。

『無垢・・お別れなの?・・いやだよ・・長生きしてよ・・』


無垢は虹の橋を渡るまでのわずかな期間、娘と仲良くしてくれました。

娘の近くで寝そべって撫でさせてくれるようになったのです。

一度無垢を逆なでをしてしまってから触らせてもらえなくなった娘は大喜びでした。

今でもこの頃の事を娘はよく覚えているそうです。

「きっと私が上手に撫でられるようになったから触らせてくれるようになったんだよね。もっと撫でたかったな」


無垢の写真は我が家のリビングに飾られています。

知らない場所だけどごめんね・・無垢。

無垢の写真と最後につけていた首輪


それよりも俺と遊べ

愛猫 黒猫無垢の話 22

無垢と一緒に生活したのは私が結婚するまでの5年間だけ。

結婚してからしばらくは子供がいなかった事もあり、適当に用事を作ってはせっせと無垢に会いに実家に行っていました。


成長した無垢は今でいう「ツンデレ」。会いに行くとものすごく素っ気ない態度をとられました。

私が来ると、いつも無垢はおもむろに爪とぎ棒のところに移動し、人の顔を見ながらバリバリバリバリバリバリバリ×2と爪を研いでからそのままどこかに去っていきます。

そして私が帰る直前まで姿を見せません。

たまにさわれる距離にいる時があるので撫でようとすると、「ふぅ~」と鼻でため息をつかれます。

このため息が結構ダメージが大きくて、毎回心が折れていました(涙目)


母がパートでいない時間帯に実家に行った日は、暇つぶしのため家計簿をつけるのが定番になっていました。

無垢は全然遊んでくれないし、鼻でため息までつかれるし・・あと家計簿はなぜか自分の家だと全然はかどらないので💧


コーヒーを準備してからリビングに戻ると、家計簿のノートの上に大きな黒い塊がありました。

よく見ると無垢がノートの上にどんっと寝そべっていました。

『普段寄ってこないのにめずらしいねぇ、でもちょっと邪魔だからごめんよ💧』

ぐいぐいと無垢の身体を押しのけて家計簿をつけだすと、無垢が私の顔を見ながらじりじりとノートの上に移動してきます。

『遊びたいの?すぐ終わるから待ってて。』

再びぐいぐいと身体を押しのけますが、またしてもじりじりとノートの上に乗ってきます。

またたびの棒を取り出して無垢に見せ、ポーンと遠くの方に投げるとそれはもうすごい勢いで追いかけていきました。

そしてものすごい勢いでノートの上に戻ってきました。

何度かそれを繰り返しましたが必ずノートの上に戻ってきて私をじっと見てきます。

『いつもと逆だねぇ・・もう~仕方ないなぁ(満面の笑み)』

家計簿はあきらめ、母がパートから帰ってくるまで無垢と遊びまくったのはいうまでもありません。

それからも遊んでほしい時は、家計簿や新聞の上にどっかり乗ってきてアピールしてくるようになった無垢。

そういえば、いつも読んでる途中の記事の上に的確に尻がきてたんだよな・・💧

新聞より俺と遊べ(晩年の頃)

新年

あけましておめでとうございます。

私事ですが、年末に退職しました。 2ヶ月半の間、ハラスメントで大変な思いをしていましたが、やっと心穏やかに過ごせそうです。

退職を決めた時、パートさん達が「なぜあなたが辞めなければならないのか」と一緒に悔しがってくれました。

そう言ってくれたのがすごく嬉しかったし、自分も痛切に感じていた事だったので代弁してくれて救われた気持ちになりました。

今、メンタルが落ち着いているのも、孤独な闘いではなかったからだと思います。本当に感謝しかありません。

しばらくは心身を休めるよう医師や家族から言われていますが、やりたいことがありすぎて正直なところ落ち着いて休んでいられるかどうか・・💧

これ以上心配かけないよう、無理せず焦らず過ごしていこうと思います。

不定期更新のささやかなブログではありますが、今年もよろしくお願いいたします。

ポーカーフェイス

愛猫 黒猫無垢の話 21

私と弟が独立して両親が二人で生活していた頃の話です。

猫さんはたとえ病気になってもなかなか具合が悪そうにしてくれません。 だからそれがはっきりわかった時にはもう手遅れ・・という事もあるようです。

外でケンカをしてきてからしばらく、部屋で寝てばかりいた無垢。両親はケンカに負けて元気がないのかな?と思っていたそうです。

しかし、2日ほどすると無垢は誰もいなくなった離れの弟の部屋から出てこなくなり、両親もさすがにおかしいと思いはじめました。

そのタイミングで私が(アポなしで)娘を連れて実家に遊びにきました。

実家に入る早々、無垢の事を説明されました。

父「ちょっと前に外でケンカしてからよ、なんか無垢が元気ないような気がするんだわ。」

私『ケンカ?それ、どこかケガしてるんじゃ・・』

母「それが見当たらんのよ。だけど触られるのもちょっと嫌がるんだわ。」

母も困った様子で言いました。

私は娘を両親に預け、急いで無垢の様子を見に行きました。

窓辺にしいてあるウレタンの上で丸くなって寝ていた無垢がいました。

『無垢~』と声をかけると、ゆっくりと顔を上げてくれました。 うーん・・目がなんかうつろだな。眠いのかな・・。

そっと顔を包むように撫でるとなんかちょっと熱い感じ。

この時はまだ脱水症状を調べる方法を知らなかったので、発熱してるかどうかもしっかり判断できませんでした。

『熱があるのかな。でもここ窓辺だから熱くなってるだけかもしれない。特に鼻水も出てない・・』

でもやっぱりどこか様子がおかしい。とにかくけだるそう。でも身体にケガらしきものも見当たらない。

『無垢、どこか具合悪いの?病院行く?』

無垢は私の顔をじっと見ながらお腹の下に隠していた左足をゆっくり出してきて舐め始めました。

その瞬間、ちょっと腐敗臭のようなものを感じました。

『ん?なんかちょっと臭くない?なんの臭いだろ・・』

無垢の左足を手にとり、臭いの元をじっくり探しました。

『あった!こんなところに!』

足の指と指の間に大きくえぐれたような傷が隠れていました。

これは普通に見るだけでは絶対気が付かない場所。

すでに数日経過しているので膿んでしまって臭いを出しているのかも。

慌てて父と母に、ケガが見つかったから病院に連れて行くと言いました。

父「今日は休みだ。お前は子供いるし俺が明日の朝一番で連れて行くわ」

無垢がせめて足を引きずるなりして歩いてくれれすぐ気が付いたのでしょうが・・

母「普通に歩いとったのよ?涼しい顔して。だから全然気が付かんかったわ💦」

我慢強すぎないか・・無垢💧

次の日の朝早く、父から電話がありました。

どうやら本当に朝一番に病院に駆け込んだようです。

父「先生にあと2日ほど遅かったら足を切断しなきゃいかんかったと怒られたわ。」

発見が遅れたのでかなり状態が悪くなっていたようです。

入院はせず抗生剤をうってもらったり消毒してもらったりして帰宅した無垢。

帰ってからは離れの方には行かず、両親がいる母屋で過ごしていると言っていました。

よかった・・無垢がケガの場所を教えてくれて。

傷が治った頃、私はまた実家に(アポなしで)遊びに行きました。

居間の窓辺でのんびりひなたぼっこをしながら寝そべっている無垢に言いました。

『お願いだからもうちょっとその・・顔とか行動で痛いの教えてくれないかな?』

無垢は一応しっぽでパタパタと返事らしきものをしてくれました。

しかしその後も何度か無垢のポーカーフェイスに騙されることになりました💧

お気に入りのウレタン(10歳頃)

父から聞いた話

先日、母の三回忌があり、久しぶりに実家へ行ってきました。

大量の写真が保存されていまして、無垢の新たな写真と建て直す前の家の写真をもらって帰ってきました。

前に書いたかまどの画像(無垢がINしていないもの)もあるので、いつかその記事に付け加えようと思っています。


法事には大勢参列していたため、お墓に線香をあげるために順番待ちをしていたのですが、目の前にあったよその家の墓碑を何気なく目にしていた夫が聞いてきました。

「ここの人、昭和20年の3月25日に二人亡くなっているみたいだね・・このあたり空襲でもあったの?」

すっかり忘れていましたが、私の父が空襲があった時の話をしてくれたのを思い出しました。

『いきなり空襲があって近所の家の防空壕に直撃した。500キロ爆弾も落とされた。おそらく近くの工場を狙ったついでにこのあたりにも落としていったんだろう。』

もっと細かく話してくれていたと思うんだけど、聞いたのは私が小学生ぐらいだったからかなりうろおぼえ。

夫がスマホで調べて「実際に空襲があったみたいだよ」と教えてくれたので、自宅に戻ってから調べてみました。

昭和20年3月25日、実家近くに焼夷弾が26発ほど、そのあと大きな爆弾1発が落とされていました。

その空襲は『小さい爆弾をたくさん落とした方が破壊力が強いのか、大きい爆弾一発の方がいいのか』を調べてデータをとるためのものでした・・。

さらに終戦前日、再び大きな空襲があり、近くの工場に「模擬原爆」が落とされました。 それが工場の中心に直撃し壊滅状態になってしまったようです。

「落ちた時の衝撃や音はすさまじかった。」確かそんなような事も父は話していました。

私の記憶の中で3月と終戦直前の話が混ざってしまっているのかもしれません。

父はお酒を飲みながら私に戦争の話をよくしてくれました。

大人になってから聞いていたらもう少し話の内容をしっかり記憶できていたかな・・。

父は落とされた爆弾が「模擬原爆」という事までは知らなかったかもしれません。

その言葉は、自分で調べるまで父からは一度も聞いたことがなかったので。

まさか戦争中に実家付近が地獄のような状況になっていたなんて夢にも思いませんでした。

今も残る痕跡

愛猫 黒猫無垢の話20

今回は無垢が子猫から成猫になりつつある頃の話。

外の世界を知って家から脱走するようになった無垢。

しかし外には野良猫がいるので、出くわしては追いかけられていました。

母が畑や庭の手入れで外にいると、必死になって逃げて来る無垢の姿をよく見かけたそうです。

母を見つけると母の足元まで必死に逃げてきて、突然シャーーーッと唸って強気に転じるのだそう。

母「かっこつけたいんだろうかねぇ、私が見える所にいると威嚇したり追いかけようとするのよ。弱いくせにねぇ 笑」

無垢は知らん顔をしていましたが、耳はばっちりこっちを向いていたので絶対自分の話だとわかっていたでしょうね 笑

私『今は弱いけど無垢は大きくなったらこのあたりのボスになるかもしれないよ』

母「そうだといいけど・・追いかけられて遠くに行ってしまってまた戻れなくなったらとそれが心配でねぇ」

無垢の生涯で一度だけ、2日ほど帰ってこなかった日がありました。

姿すらまったく見せず、家族で必死で探し回りました。

2日後、追い立てられて遠くにいってしまったのか、すごく疲れた様子で帰ってきました。

それからは外に出さないよう気を付けていましたが、古い家ゆえにセキュリティーがないに等しく、無垢に軽々と脱走されてしまいます。

特に、私が会社に帰ってくるタイミングを見計らって外に飛び出していきました。

一度出てしまうとなかなか帰ってこないため、私がいつまでも寝ることができません。

やむをえず、鍵がない勝手口の扉を工夫して簡易の猫用の出入口を作成しました。

自由に出入りできる状況になると、無垢は昼間に外に出て、夜は家の中で過ごすことが増えました。

休日の昼間、庭の方で猫がケンカをしている声が聞こえて慌てて外に出ました。

無垢は劣勢の状態でしたが、私の姿をみるとシャーッと野良猫に向かって声をあげ始めました。

しかし相手は今にも無垢に飛び掛かりそうな雰囲気です。

『無垢、かっこつけなくていいよ。危ないから家に入ろう💦』

私はうかつにも興奮状態の無垢を抱こうとしてしまいました。

『ギャーーーーーーーーーッ!!』

悲鳴を上げたのは野良猫でも無垢でもなくこの私。

急に背後から抱っこされそうになった無垢が驚いて私の左手首を思いっきりひっかいたのです。

野良猫は私の悲鳴に驚いて逃げていき、無垢は我に返ったのかおとなしくなりました。

『ごめん、無垢。びっくりさせちゃったね。』

無垢は申し訳なさそうに血まみれになっている私の腕をぺろぺろと舐めてくれました。

おそらく前脚ではなく後ろ脚の爪でひっかかれたと思います。

傷は一本だけでしたがちょっと深い傷でした。

母からは「ケンカしてる猫に手を出すなんて・・」とあきれられました。

本来ならこういう時は病院にいかなくてはならないようですが、私は水で洗い流しただけ。

消毒ってしたかな。どうだったかな。(うろおぼえ)

バイキンが入らなかったのか、特に発熱したりすることもなく数日で治りました。

ただ、左手首にはその時の爪あとがしっかり残っています。

その傷をみるたび無垢を思い出します。

ほんと痛かった~💧

おはようニャ

愛猫 黒猫無垢の話 20

これは冬限定のお話になります。

私が勤めていた会社は、帰宅が深夜になる代わりに出勤時間は11時までに出社すればいいというところでした。

なので平日の起床時間は朝の9時。当然両親はすでに仕事やパートにでかけています。

居間のこたつの電源を入れてから台所に行くと、無垢が石油ストーブ前で番人をしてくれています。

寝そべっている無垢にそっと触れると、いつもとんでもない熱さになってます。

『ちょっと無垢さん?また身体がちんちこちんだがね(@名古屋弁で熱いの意味)火傷するよ?』

古い家ゆえにストーブの前じゃないと全く暖かくないため、私が起きてくると無垢は場所を半分だけ譲ってくれます。

無垢の隣にちんまりと座ってコーヒーを飲んでいると、寝そべっていた無垢がゆっくり起き上がります。

そして私の鼻に顔を近づけて「ちょんっ」と無垢の鼻を当ててきます。

あれだけ熱いところにいても鼻はわりとひんやりしてましたね。

それが終わると、私がスイッチを入れたこたつの方にゆっくり移動していきます。

これが冬の朝のルーティーンでした。

当時は知りませんでしたが「ちょんっ」とするのは猫さん流の挨拶だったんですね。

無垢は私に「おはようニャ」と挨拶してくれていたようです。

結婚して家を出てからは会ってもまったく鼻ちゅーされる事がなくなってしまったのでちょっと(いやかなり)残念でした💧

ストーブの番人(晩年の頃)