今も残る痕跡

愛猫 黒猫無垢の話20

今回は無垢が子猫から成猫になりつつある頃の話。

外の世界を知って家から脱走するようになった無垢。

しかし外には野良猫がいるので、出くわしては追いかけられていました。

母が畑や庭の手入れで外にいると、必死になって逃げて来る無垢の姿をよく見かけたそうです。

母を見つけると母の足元まで必死に逃げてきて、突然シャーーーッと唸って強気に転じるのだそう。

母「かっこつけたいんだろうかねぇ、私が見える所にいると威嚇したり追いかけようとするのよ。弱いくせにねぇ 笑」

無垢は知らん顔をしていましたが、耳はばっちりこっちを向いていたので絶対自分の話だとわかっていたでしょうね 笑

私『今は弱いけど無垢は大きくなったらこのあたりのボスになるかもしれないよ』

母「そうだといいけど・・追いかけられて遠くに行ってしまってまた戻れなくなったらとそれが心配でねぇ」

無垢の生涯で一度だけ、2日ほど帰ってこなかった日がありました。

姿すらまったく見せず、家族で必死で探し回りました。

2日後、追い立てられて遠くにいってしまったのか、すごく疲れた様子で帰ってきました。

それからは外に出さないよう気を付けていましたが、古い家ゆえにセキュリティーがないに等しく、無垢に軽々と脱走されてしまいます。

特に、私が会社に帰ってくるタイミングを見計らって外に飛び出していきました。

一度出てしまうとなかなか帰ってこないため、私がいつまでも寝ることができません。

やむをえず、鍵がない勝手口の扉を工夫して簡易の猫用の出入口を作成しました。

自由に出入りできる状況になると、無垢は昼間に外に出て、夜は家の中で過ごすことが増えました。

休日の昼間、庭の方で猫がケンカをしている声が聞こえて慌てて外に出ました。

無垢は劣勢の状態でしたが、私の姿をみるとシャーッと野良猫に向かって声をあげ始めました。

しかし相手は今にも無垢に飛び掛かりそうな雰囲気です。

『無垢、かっこつけなくていいよ。危ないから家に入ろう💦』

私はうかつにも興奮状態の無垢を抱こうとしてしまいました。

『ギャーーーーーーーーーッ!!』

悲鳴を上げたのは野良猫でも無垢でもなくこの私。

急に背後から抱っこされそうになった無垢が驚いて私の左手首を思いっきりひっかいたのです。

野良猫は私の悲鳴に驚いて逃げていき、無垢は我に返ったのかおとなしくなりました。

『ごめん、無垢。びっくりさせちゃったね。』

無垢は申し訳なさそうに血まみれになっている私の腕をぺろぺろと舐めてくれました。

おそらく前脚ではなく後ろ脚の爪でひっかかれたと思います。

傷は一本だけでしたがちょっと深い傷でした。

母からは「ケンカしてる猫に手を出すなんて・・」とあきれられました。

本来ならこういう時は病院にいかなくてはならないようですが、私は水で洗い流しただけ。

消毒ってしたかな。どうだったかな。(うろおぼえ)

バイキンが入らなかったのか、特に発熱したりすることもなく数日で治りました。

ただ、左手首にはその時の爪あとがしっかり残っています。

その傷をみるたび無垢を思い出します。

ほんと痛かった~💧